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看護師・医療事務がすぐ辞める原因と解決策

株式会社キリン堂の落合と申します。
医療スタッフが定着せず、誰かが辞める度に高い採用コストを払わなければいけなくて困っている、そんな開業医の方や、そこに不安を感じる今後開業予定のお医者様も少なくないと思います。
そこで今回は、スタッフが辞める原因とその解決策について、過去に100人以上の採用経験を持ち、様々なベンチャー企業の社長から、マネージメント業務に定評をいただいている不肖私が、解説させていただきます。

目次
  1. 人が離職を考える3つのタイミング
  2. 求人に経営理念を書く
  3. 違う属性のスタッフを混ぜない
  4. まとめ

人が離職を考える3つのタイミング

人が離職を考えるタイミングとしては主に3つがあります。


まず1つ目は、身内に何かがあった時、です。
具体的に言うと、自身の結婚出産や、親の介護などですね。
これに関してはどうしようもないので、そうなってしまったら諦めるしかないでしょう。


面接で確認することも不可能ではありませんが、ストレートに「子供の予定は?」と聞いたら雇用機会均等法に抵触しますし、「ご兄弟はいますか?親の介護が必要になったら誰が面倒を見ますか?」と聞くもの印象は良くありません。


できる対策としては、求人票の歓迎要項に、「5年以上続けて働ける人」と書くくらいでしょう。
良識のある人であれば、5年以内に出産の予定があったり、現状で両親の健康に不安があるなら、その時点で応募は控えると思います。


2つ目は、将来に不安を感じた時、です。


この職場では成長できない、給料も上がらない、そう思った時に人は転職を考えます。
特に新卒採用では気をつけるべきポイントですね。
入職して1年、基本給は微増に留まり、2年目以降も行う業務はほぼ同じ。
今後もずっと状態が変わらないと判明した瞬間、離職へのカウントダウンが始まります。
これもある意味ではどうしようもありません。
世の中にはレジ打ちや配送など、どれだけやってもスキルが成長しない業務はたくさんあります。
当然、スキルが上がらなければ、給料も上がりません。
もしもそのような職種、単純な事務雑務作業員などを募集するのであれば、最初からそう明記しましょう。
少しでも条件を良く見せないと、応募が来なくて採用に苦労すると思われるかもしれませんが、都合の悪い部分を意図的に隠した結果、すぐに辞めてしまわれては本末転倒です。
それまでの教育コストが無駄になり、また採用の為に高い広告費を払うことになります。
そして、採用コスト分、給料が減って、求人の魅力が低下し、応募も減る。
そのような悪循環に陥らないよう、気をつけましょう。


そして本記事のメインテーマである3つ目は、思ってたのと違った時、です。
短期で辞める一番の理由ですね。
1年以内に離職する可能性が高いので、対策は必須です。


どうすべきかというと、求人の時点でミスマッチを防ぐ、これだけです。
「思ってたのと違った…」と感じた人が、数か月後に、「やっぱり思ってた通りだった!」となる事は、ほぼ100%あり得ません。
入職の段階でミスマッチだった人を、職場にマッチさせるのは至難の業です。
そこに労力を使うくらいなら、そもそも最初からミスマッチをなくすことに、注力すべきでしょう。

次項ではミスマッチを防ぐ方法について解説させていただきます。


求人に経営理念を書く


ミスマッチが起こる最大の理由は、こちらが伝えるべき情報、求職者の判断材料となるべきものを全て伝えきれていないからです。


試しに「医療事務 求人」で検索して、ヒットした求人サイトで内容を見てみましょう。
■業務内容はカルテ作成・受付、患者様対応・点数計算・レセプトの補助業務・その他付随する業務です。
■先輩が丁寧に業務を教えていきます。
■若手が多く活躍しています。
■『経験』よりも『お人柄』重視の採用です!
■みんなで作り上げる職場だからこそ、助け合いながら無理なく続けていける環境があります◎
■産休、育休も取りやすい環境で長くお仕事を続けられます。
■経験を活かしてキャリアップできるオシゴトです。


殆どの求人で、この程度の事しか書いていません。
一体何が伝わるのでしょうか。


まず書くべきは経営理念です。 簡単な例を用意したので、以下の二つを比較してみてください。



はじめまして。
院長の○○です。
私は小さい頃から両親が共働きで、いわゆる‘おばあちゃん子’でした。
自分が医大に入学し、寮暮らしになると、年に数回しか会えなくなりました。
帰省した時、祖母に最近何か嬉しい事があったかを聞くと、『近くの診療所の先生に、孫が医学部に入ったと話したら、凄く褒めてくれた。月に1回、その先生と話すのが一番の楽しみ』と言っていました。
それを聞いて私も、お年寄りが通うのを楽しみに感じてくれるような、温かいクリニックを作りたいと思い、開業しました。


「 はじめまして。 院長の○○です。 当院では、徹底的な効率化により、高収益な経営を行って、労働時間は短く給料は高く、スタッフにとって働きやすいクリニックを目指しています。 最新のITシステムの導入で、患者様の利便性を向上させることも重要視しています。 そして、そのようなクリニック運営法をパッケージに纏めて、フランチャイズ化し、経営者にもスタッフにも患者様にも理想的なクリニックを、全国に広めていきたいと思っています。 」


方向性が全く違います。
お年寄りがあまり好きではなく、労働環境の良さを重視する人が前者に入ったら、合わなくて辞める可能性が高いです。
挑戦心が弱く、人と触れ合う中で感謝される事に一番の喜びを感じる人が、後者に入ったら、やはり合わなくて辞める可能性が高いです。


自分の所はどういうクリニックなのか、どんなタイプの人材に来てほしいのか、なるべく細かく書くようにしましょう。
そうする事で、ミスマッチは起こりにくくなり、早期退職で採用コスト増大のリスクを減らす事ができます。


違う属性のスタッフを混ぜない


ミスマッチを防ぐ上で、もう一つ注意していただきたいのが、違う属性のスタッフを混ぜないという事です。


私が学生の時、メガバンクに内定が出ている先輩が、別の所にしようか悩んでいると言っていました。
理由を聞くと、飲み会が少なくて、楽しくなさそうだから、だそうです。


多くのアンケートでは、平成生まれの6割以上は飲み会を嫌がるというデータが出ています。


しかし中には、飲み会が少ない会社には魅力を感じない人も、多少は存在するのです。


もしも、院長先生が飲み会が好きで、月に1回は必ず、スタッフ全員を連れて美味しいものを食べに行く。従業員も経費で御馳走が食べられるので、皆が喜んでいる。そんな職場があるとします。


そこに飲み会が嫌いな人が新規で入ってきたら、どうなるでしょうか。
毎回その人だけ誘いを断ると、確実に空気が悪くなり、職場でも疎外感を覚えるに違いありません。
かと言って、嫌いな飲み会に参加するのは、ストレスでしかなく、結局その人は幸せになれません。
多分、早期に離職します。


別の例としては、院長が月に1回休日に、自己啓発やスキルアップの研修プログラムを開いています。
雰囲気的に、参加は半強制です。
院長の想いは、「従業員にはなるべく豊かな人生を送ってもらいたい。うちで成長して、場合によっては転職して、キャリアアップしていってくれたら、それが嬉しい」。
自分の休みと利益を削って(外部から講師を呼んだりして)、質の高い研修ができるように、院長は努力しています。
このクリニックのスタッフは、成長したいと思っている人ばかりで、無料で研修が受けられると皆喜んでいます。
そこに、「成長とか興味ない、休みの日はゆっくりとゲームしたり映画見たりしたい」と思っている人が入ってきたら、やはり同じく、すぐ辞めると思います。


外交的な人、内向的な人、向上心が強い人、趣味の時間を大切にしたい人、世の中には様々なタイプの人がいます。
属性が違う人を同じ空間に混ぜると、大抵は悪い結果が訪れます。


なるべく価値観が近い人を集めるように心がけましょう。
求人には、アットホームな職場ですなどと、漠然とした表現は使用せず、「毎月院長の奢りで、美味しいものが食べに行ける職場です!」と、具体性のある記載をする。
ここまで細かく書いてあれば、ノリが違う人が間違って入ってくることはないでしょう。


まとめ

求人票には最大限の情報を載せる(文字数制限がある場合は、公式サイトにそういうページを作って、細かい事はこちらを参照にとリンクを張るなどする)。
面接でも、利点と欠点を包み隠さずはっきり伝える。
これだけで、離職率はかなり低下するはずです。
注意点は、自分が伝えたいことを伝えるのではなく、相手が知りたいことを伝えなければいけないという部分です。
コミュニケーションを大切にし、意識のすり合わせをしっかりと行って、人が辞めない職場を作りましょう。